Null Wota Exception

ヌルヲタアラサーがなんか適当に吐き出すところ

本を持つ意味

 同棲を始めようと思い、実家から新居に持っていくものを考えていた。服、靴、パソコン、カメラ、PS4、ゴルフ用具、風呂用具、かばん類、仕事・カード関係の書類、お酒、文房具、あと細々した電子機器を持っていけば問題なく暮らせそう。しかし、それに加えて本や漫画、BDといったかさばるものを持っていくかどうかという点で悩んでいる。BDについてはそんなに多くないのでとりあえずあるだけ持っていこうかと思うが、本と漫画については数・種類が多い上に、全部が全部定期的に読み返しているわけでもないので、何を持っていけば良いのかわからない。

 本の種類は大まかには、学生時代の教科書、外国語関係の参考書、スポーツ関係の指南書、哲学・自己啓発的な本、様々な新書、小説、画集・図鑑、雑誌(ムック)、写真集……といった感じで分けられると思う。外国語とスポーツ関係は何度も使っているのでこれは持っていきたいが、果たしてそれ以外の本はどうなのか? 最近読み返したことがあるのか?(いや、ない) じゃあなんで俺は本を買って売ったり捨てたりせずに後生大事に保管しようとしているのか。それもわざわざお金かけて本棚まで作って!(本棚を作ること自体のが一つの趣味であることは否定しない)

 そもそも、本を読むことは①新しい知識、考え方、感動の獲得、②かつて得た知識・考え方・感動の確認、③それらの懐古に役立つと考えられる。①は基本的には最初に読むときで、②と③は最初でも何回目かでも成立する。それらの体験から、なにか新しいものを設計できるようになる、事件が起きたときに共感できるようになる、何か検討するときのエビデンスにする、青春時代を懐かしむ、といった方向に発展してくのではないだろうか。そのように役に立つ本を家に置いておく=読んだあとに保管するという意味はなんだろうか。

 ①については、今まさに読んでおり、保管するという前の段階なので、ここでは考えないことにする。

 ②については、大抵の人間は読んできたすべての本の内容を丸暗記出来るわけではないので、昔読んだあれを参考にしたいと思ったときに、家に本が保管されていると、すぐに参考にできる。背表紙を眺めて、確かこれに書いてあったかも、と思い出すことも出来るかもしれない。そのような場面で、本が家にあれば、わざわざ図書館に行ったり買い直したりする必要はない。また、本が絶版になってしまったり、そもそも数が出ていない本だったりすると、他では読めない可能性もある。

 ③については、ふと本を読み返したくなったときにすぐに読み返せる自由がある。また、背表紙を眺めて、これはこういう時代に読んだな、こういう気持ちだったな、などと思い出に花を咲かせるのも一興である。もうどこにも売られていない本や、自分でも読んだことを忘れてしまった本なんかでも、手元に保管していれば、それが過去の甘い記憶を呼び起こすきっかけになるかもしれない。

 となると、本を読む本来の目的を活かしながら本を保管する意味は、自分の好きなタイミングですぐに読めるという速達性の確保、自分にとって貴重な本が読めなくなるというリスクや、読んだことを忘れてしまうリスクを減らすための継続性の確保(良い言葉が思いつかない)、この二点ということになるだろうか。

 いや確かに、本を保管しておくことで、これが俺の本棚なんだとラインナップを見せびらかしたり、好きな本が並んでいることにうっとりしたりすることは本を保管していないと出来ない。しかしそれは本を読む目的とは関係なく、結果としてそういうことが出来るというだけである。それを目的にすることは、自己規定・自己顕示を第一の目的としており、本を読むことを二の次にしている。それが自分の個性や自己肯定感にポジティブに作用し人生にメリットが生じるなら、まぁそれはそれでいいのかもしれない。(例えばもう読まない大学時代の教科書を後生大事に取っておくことなど)

 果たして今自分が持っている本の中で、速達性・継続性が重要な本というのはどれが相当するだろうか。速達性は、まさに仕事や勉強で使っている本や、頻繁に読み返したくなる本に対しては重要である。継続性は、本当に心から思い出深い本や、結構貴重だと思っている本にとっては重要であろう。

 ここで、今回こうあれこれ悩んでいる理由を振り返ってみるが、それは実家から出て同棲を始めるというものである。果たしてその新居に、わざわざ貴重な本を持っていく必要はあるのだろうか?(いや、ない) 今回の最終的な結論としては、今まさに仕事(自己研鑽含む)や勉強(スポーツ、外国語)で使いそうなもの、それ以外で読み返したくなるものだけ選別して持っていくことにしよう

 なお、この内容を漫画に当てはめると、速達性が必要な漫画というのは読み返すことが必要なもの=新刊を買っているシリーズ、完結してるが頻繁に読み返すものは持っていったほうが良さそうである。

 では実家に残した本や漫画はどうなるか? 時が来たら思い出の賞味期限が来て処分することになるか、年に一度帰ったときに背表紙を眺めて思い出に浸り、やがて子や孫がその本棚からこっそり本を拾って読み始め、それを知ってから知らずか僕は日の当たるリビングで満足気に一杯のコーヒーを飲みながら(以下略

 ここで唐突に電子書籍についてであるが、今まで読んできた本や漫画がもしすべて電子書籍化できるとしたら、自分にとってどういうメリットがあるだろうか? 好きなタイミングで読めるどころか、家にいなくても、出張先の海外からでもアクセスさえできればどこででも本が読める。家事で焼失するようなこともない。場所も取らないからもう好きなだけ本を保管できる(読める限りは) 速達性と収集の観点では何も問題がない。VR空間に本棚を作れば、麻帆良学園図書館島だって自分のラインナップで再現できる。そんな中で背表紙を眺めてあ~昔よんだな~と思いを馳せる……最高ではないか。

 でも、やはり本を広げて読むという体験は、いまだ電子書籍では得難いものである。電子書籍の場合は、正直結構読んだことを忘れてしまう。VR/AR本棚と、実物の本(超高密度な自動書庫に保管、あるいは全ページ何かしらの方法で書き換え可能な本に印字する)の組み合わせというのが出来たら面白いなと思った。